第4話：追い詰められた孤独

遥の両親が村田を激しく糾弾し、村田は「絶対にやっていない！」と泣き崩れた。だが町の空気は既に危険なほど張りつめ、蝉の声が急に止み、外の夕焼けが赤黒く染まっていく。

DNA鑑定だけが頼みの綱。私たちは村田と美咲の胎児のサンプルを採取した。

その夜、村田の家の灯りは消え、町は不吉な静けさに包まれた。

翌朝、村田の店は開かなかった。近所の人が異変を感じて中に入ると、村田は首を吊っていた。店の前には投げ捨てられたゴミ袋、壁には赤いスプレーで罵詈雑言、卑猥な落書きがあった。朝露に濡れた道を子どもたちが通り過ぎ、村田の部屋には古い野球のグローブや埃をかぶった写真立てが寂しく残されていた。

DNA鑑定の結果、村田は美咲の加害者ではなかった。

「村田さんじゃなかった……」と木下が紙を握りしめて呟く。町の人々は「やましいことがあったんだろう」と噂し、私たちだけが彼が町全体に追い詰められたと知っていた。

同時に、もう一人の少女さやかにも悪い知らせが届く。さやかの祖母は病院の待合室で泣き崩れた。

保護者たちは町内会に怒鳴り込み、賠償を求めて会議室には冷めたお茶と埃っぽい匂い、町内会長の額には汗が浮かぶ。誰も子どもの心の傷に目を向けず、ただ怒りの矛先は賠償金へと変わっていった。

私たちが「再度子どもたちに事情を聞きたい」と言うと、全員が「これ以上傷つけるのは可哀想だから」と拒絶した。町の空気はじっとりと重く沈み、時計の針の音だけがやけに大きく響いた。