暗闇山と常世村――姉の影を追う、終わらない箱庭の夢
東北の山奥、消息を絶った姉を探して「暗闇山」へ向かった蓮は、常世村という地に迷い込む。村では人の形をした蛾、狛犬の異形、そして大蛇様の伝承が絡み合い、現実と幻覚の境が溶けていく。姉の痕跡は次第に消え、村人たちの言葉も常識から逸脱していく。蓮は出口を探し続けるが、村に溶け込み、やがて「人を作る」儀式の秘密に触れる。すべてが泡沫の夢であり、彼自身の記憶も揺らいでいく。姉の存在も自分の人生も、ほんの一瞬の息遣いだったのかもしれない。人は本当に現実に触れられるのだろうか――。