第7話:呪詛の影と家族の温もり
ついに全貌が見えてきた。
尚人の病は、邪気に触れたせいではない。
もし本当に怨霊に狙われていたなら、死ぬまで追い詰められるはずだ。わざわざ美咲を寺に誘い、毒殺する必要などない。
つまり、あの葬列は『送り舟』ではなく、何らかの呪詛だったのだ。
尚人は呪いにかかり、体が弱ったが、致命傷ではなかった。
美咲を密室に呼び出し、問い詰め、拒否されたので毒を盛ったのだろう。
やはり、天女様とその信者たちは一筋縄ではいかない。
できるだけ早く距離を置くべきだ。
そして、美咲にも絶対に近づけてはならない。「美咲、君には本当に感謝している。でも天女様のことは――」
「いいのよ、尚人」美咲は意外にもあっさり遮った。「正直に言って――天女様が本当にあなたを蘇らせたの? 私はあなたを信じる。」
私は首を振った。
「私の気持ちは気にしないで。あなたを寺に連れて行ったこと、ずっと罪悪感があった……今はただ謝りたい。」
またしても、美咲の優しさに胸が温かくなった。
「尚人、私はあなたを信じてる。あなたが天女様を嫌うなら、もう二度とあの寺には行かない。」
言葉にならない想いが胸を満たし、思わず涙が滲みそうになった。美咲の存在が、私に再び生きる意味を与えてくれたのだ。
そして家に帰ると、天はさらに私に驚きをくれた。
可愛らしい少女が私の胸に飛び込んできて、涙ながらに叫んだ。
「パパが帰ってきた! パパは舞花を捨てなかった!」
「パパ、会いたかったよ!」
娘の細い腕が私の首に絡みつき、ランドセルの重みが肩にずしりと伝わる。髪からはほのかにシャンプーの香りが漂い、その温もりに心がほどけていく。家族の腕の感触が、失いかけた幸福を五感で思い出させてくれた。
今度こそ、家族を守り抜くと心に誓った。
続きはモバイルアプリでお読みください。
進捗は自動同期 · 無料で読書 · オフライン対応