第6話:送り舟の真実と家族の誓い
帰り道、美咲と私は色々な話をした――主に天女様についてだ。
神社を抜け、細い参道を歩く。鳥居の影が石畳に長く伸び、季節外れの桜がちらほらと咲き、風に花びらが舞っていた。石畳の冷たさが足元に伝わり、遠くからは祭囃子の音が微かに聞こえてきた。
この小さな町では、天女様の評判は非常に高く、多くの住民がその奇跡を信じている。
年に数度の祭りの日には、町中が提灯で彩られ、天女様の掛け軸が家々に飾られるという。老若男女を問わず、誰もがその存在を口にするのだ。
だが尚人はもともと天女様が嫌いで、美咲もその影響であまり信じていなかった。
後に尚人が突然病に倒れ、病院でも原因不明で、美咲はただ愛する人が衰えていくのを見守るしかなかった。
その時、天女教の人々が現れ、尚人の不運は天女様への不敬が原因だと告げた。
追い詰められ、美咲はついに一度だけ頼ってみることにした。
「それで、私の病気の原因は何だったんだ?」私は尋ねた。
「詳しくは分からないけど……」美咲は少し考えてから答えた。「『送り舟』の儀式の後で倒れたのよ。」
「送り舟?」その言葉に私は反応した。祝祭のように聞こえるが、実際はそうではない。
美咲の説明――この町では『送り舟』は葬儀の風習であり、自殺者の怨霊を鎮めるため、使われた縄を焼き、邪気を川へ流すというものだ。
この町でもその風習が残っている。
伝説によれば、首吊り自殺者は怨念が強く、身代わりを求めて周囲に害を及ぼす。
そのため、遺体が発見されると、必ず邪気を川に送り、焼き払わなければならない。
地元の寺がこれを担当し、邪気は死者の首を締めた縄で象徴される。
この町では天女教がその役目を担っている。
三ヶ月前の深夜、邪気を浄化した後、教団は縄を川へ運ぶ準備をしていた。
街は静まり返り、家々は窓も戸も固く閉ざし、白い紙札を貼る家もあった。送り舟の行列が通る前には、沿道の住民に知らせて外出しないように促される。もし行列に遭遇すれば、邪気に触れて命を落とすこともある。
その夜、葬列は順調に始まったが、途中で突然進路を変えた。実際に儀式の行列が通ると、住民たちは障子越しに息をひそめ、紙札の貼られた家々が不安に包まれた空気を漂わせていた。
無関係の通行人が邪気に触れ、尚人もその一人だった。
後に天女教は、死者の怨念が強すぎて逃げ出そうとしたため、進路を変えて捕まえたと説明した。
儀式で邪気を祓ったが、尚人だけは拒否した――もともと天女様が嫌いだったからだ。
その結果、他の人は無事だったが、尚人だけが重病に。
これで住民たちはますます天女様の全能を信じ、不敬の者は罰せられると噂した。
美咲の声が少し震えていた。彼女の目には、心からの悲しみと不安が浮かんでいた。
続きはモバイルアプリでお読みください。
進捗は自動同期 · 無料で読書 · オフライン対応