第4話:悪役パパの反逆
弾幕が常に流れるようになってから、私はどんどん冷静になった。規則正しく生活し、食事もきちんと取り、残業もやめ、細かいことも気にしなくなった。サブカードも解約した。
朝は自分で味噌汁を作り、弁当も自分で詰めるようになった。家族が寝ている間に静かに出勤し、帰りもコンビニで必要なものだけ買う。
紫苑は「本当に干渉しなくなったのか」と疑い、徐々に私の限界を試すようになった。
今では好き勝手——夜中にアイスを食べ、生理中に冷たいものを食べ、サボり、宿題もせず。
ふと夜中に冷蔵庫を開ける音がしても、私は知らぬふりをした。
本来なら大学受験を控えていたのに、成績は学年十一位から急落した。
ついに、担任から「紫苑さんが大変なことを」と電話が来た。私は「美咲に連絡してください」と伝えた。
間もなく、美咲が怒り心頭で私のオフィスに乗り込んできた。
「担任から親呼び出しがあったのに、なんで行かなかったの?」
私は仕事の手を止め、眉を上げた。
書類に目を落とし、落ち着いた声で問い返す。
「紫苑は君の子でもある。親の呼び出しも問題も、いつも私が学校に行く。どんなに忙しくても。君は毎日家にいるのに、なぜ行けない?」
美咲も弾幕も唖然とした——
「悪役パパ、キャラ変?今までは学校にすぐ駆けつけてたのに、今度はヒロインママに押し付けてるw」
「嘘でしょ!ヒロインもママも世間知らずの美人なのに、学校の狼や虎とどうやって渡り合うの?ここで悪役パパが二人を引き裂くクライマックスなのに!」
——私は小説の「男女主人公を引き裂く悪役」だったのか。
会社の応接室のカレンダーを眺めながら、虚しさがこみ上げた。
美咲は私を睨みつけた。
「あの子はあなたの子でもあるでしょ?あんたが無理やり子ども作らなければ、私は母親にならなかったのよ?自分の育て方に自信持ってたんでしょ?これがその結果?私は知らない。学校のことなんて私には関係ない」
そう言い捨てて美咲は出て行った。
私はスマホの録音を切り、冷笑した。
母娘愛など、所詮は見せかけ。美咲が自己中なのは前から分かっていた——自分しか愛していない。
天井の蛍光灯がチカチカ瞬く。書類の山が、どこか無意味に思えてくる。
私も本当は行きたくなかったが、担任が何度も電話してきたので、親子の縁もあるし仕方なく学校に向かった。
紫苑は職員室にいた。私を見ると、恨みがこもった目を向けた。
「なんで来たの?ママは?」
彼女は、どんなに問題を起こしても美咲は絶対に責めないが、私はいつも悪者で叱ると知っている。
今や私のことを父親ではなく敵だと思っている。
私はうんざりした口調で言った。
「お前、本当に母さんが自分を大事にしてると思ってるのか?」
紫苑は呆れたように目をそらし、制服のリボンをいじった。
「だったらあなたにも世話になりたくない」
職員室の壁には進学実績ポスターが貼られ、窓の外からは蝉の声がかすかに聞こえる。担任が割って入り、私を睨みつけた。
「最近、高橋紫苑さんはサボり、喧嘩、いじめ、恐喝までしています。さらに恋愛まで…大学受験まであと一ヶ月なのに、これではまともな大学は到底無理です。以前はトップクラスだったのに、今では三流大学の最低ラインにも届きません」
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