第1話:蘇った白月光
静かな畳の部屋で目覚めたとき、外では遠くに除夜の鐘の余韻が響いていた。その音が、時を超えた自分の存在を妙に現実的に感じさせる。畳の縁に手をつくと、冷たさがじわりと指先に伝わる。障子越しに差し込む淡い朝日が、部屋の隅に静かな影を落としていた。部屋の空気はひんやりとして、吐く息が白く揺れる。部屋の隅には、和紙に包まれた古い鏡が置かれていた。
システムは、すでに闇に堕ちた悪役を救うよう私に命じる。
だが、私はすべての記憶を失っていた。
だから、初めて遠くから悪役を見かけたとき、近づく前に、
彼の部下たちに追い払われてしまった。
地面に投げ出され、惨めな姿でいると、突然、目の前にいくつかの弾幕コメントが流れた。
「また新入りかよ。どうせすぐ消えるだろ」
「システムも諦めろって」
「外見が亡妻に似てるだけじゃ無理だろ」
「いや、今度は何日持つかな?」
「顔も地味だし、やる気あんのか?」