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宿敵から1億円、禁断の朝 / 第1話:宿敵への生放送コール
宿敵から1億円、禁断の朝

宿敵から1億円、禁断の朝

著者: 山口 隼人


第1話:宿敵への生放送コール

バラエティ番組の眩しい照明の下、私は恥知らずにも宿敵に電話をかけた。空調の音すら遠く、肌に緊張のざわめきがまとわりつく。

(まさか、全国放送のスタジオで、こんな大胆なことをやらされるなんて……)心臓が喉までせり上がり、手のひらがじっとり汗ばむ。カメラがこちらを狙い、観覧席の笑い声がうねる。逃げ道はない、やるしかない。

「服を買いたいから、2,000万円貸してくれない?」

(自分でも、この突拍子もない台詞に苦笑いが漏れそうになる。口元が引きつり、どんな顔で聞けばいいんだろう……)

電話の向こう:「……いっそ俺の皮を剥いで着れば?」

(やっぱりこの人は常識なんて通じない。だけど、それがまた面白いから困る。背中越しに、番組スタッフが思わず吹き出している気配が伝わってくる。)

その直後、LINEのポップアップ通知がスマホ画面にピコッと現れた。

【あなたの三井住友カード(末尾8975)に、9月11日08:13、他行から1億円のリアルタイム送金がありました……】

(……え? 何これ。まさか、こんなオチになるなんて。スタジオの空気が一瞬凍りつき、観覧席の誰かが小さく息を呑むのを肌で感じた。)

この章はここまで

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