もう一度お試しください。
家を守るために入り婿の征十郎を追い出した夜、私は胸の奥に沈んだ罪悪感を抱え続けてきた。乱世の中で彼は総司令となり、再び私の前に現れる。冷たい言葉と不器用な優しさが交錯し、過去の傷と誇りが揺れる。周囲の人々や旧家のしがらみ、戦乱の波に翻弄されながらも、二人は静かに距離を測り直していく。手に残る傷跡も、互いに寄せる想いも、時を超えて形を変えていく。夕陽の宮城に影を寄せ合いながら、二人の十年が静かに始まるのかもしれない。
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