第6話:共通テストより花嫁売買
薫子さんの気遣いも、私のためじゃない。彼女はただ、自分の娘がすり替えられていたらどんな地獄を味わっていたか、怖くなっただけ。
最初から最後まで、誰も本当に私を気にかけてはいなかった。私はただ、こう思った——
母さん、あなたが本当の娘は私だと知った時、今日の自分の言動を後悔するだろうか?
澤子の強い要求で、私は家に連れ戻された。ちょうど、私も治療したくなかった。生きていること自体が苦痛だった。
家に戻ると、澤子は私を外に出さなくなった。きららを邪魔しないようにするためだ。
数日後には共通テストだ。澤子はあらゆる不利な要素を排除し、きららのために尽くそうとしていた。彼女は私も共通テストを受けることをすっかり忘れていた。
本来、澤子は私を高校に進学させるつもりはなかった。でも、私は成績が良すぎて、地区一位で最難関高校に合格した。しかもきららを抑えての一位だった。
澤子は激怒し、私を部屋に閉じ込めて何日も食事を与えなかった。三流高校が高額の奨学金を提示し、私を招いたことで、やっと入学を許した。もちろん奨学金は一円ももらえなかった。食事はアルバイトと薫子さんのこっそりくれるお小遣いで何とかした。
それ以来、私は自分の実力を隠すようになった。わざと間違え、成績をどんどん落とした。澤子はますます喜び、私にこう言い聞かせ続けた。
「お前は生まれつきの底辺で、結局は身の程がバレる。きららこそ本当のプリンセスだ。今回の共通テストでもまた一位だった。」
彼女はきららを自慢し、まるで自分の子供を誇る母親のようだった。そして共通テストの後、彼女が長年計画してきた今までの苦労が報われる時がやってくるのだ。
……
共通テスト当日、私は受験するつもりだった。体調は悪化していたけど、自分にけじめをつけたかった。でも、夜明け前に澤子が私を揺り起こした。
「ママは苦労してまた良い縁談をまとめたのよ。相手はあんたがすぐ死ぬのも、体が弱くて子供が産めないのも気にしない。嫁げば幸せになれる!」
彼女は興奮と異様な光を目に宿し、私をベッドから引きずり出した。
「もう迎えが来てるわよ。まずは相手と仲良くなって。」
どんな家が、見も知らぬ死にかけの女を嫁にもらうのか? 私は澤子の手を握り返し、彼女の目を見つめた。
「ママ、もう長くないから、共通テストを受けさせて。」
これが最後だと思った。彼女に最後のチャンスを与えたかった。もし少しでも私に情があれば、真実を教えてあげようと思った。
でも澤子は一瞬も考えず、また私を突き放した。
「テストを受けたい? 夢でも見てなさい。無駄口たたかず、さっさと起きなさい!」










