第4話:近衛大将と危険な恩典
ともあれ、私が後宮に入って五年、明里が入宮して三年目、父と義兄がついに凱旋して帰ってきた。都の空に太鼓が鳴り、門の前に新しい風が入る。
私は懐かしくもどこかよそよそしい義兄に微笑みかけた。「兄上、今回の恩典は私にはもったいのうございます。」関所を越える許しが、彼の肩へ下りた。
九条真人――私の父が引き取った故友の子。家の帳面に、兄として記された人だ。
三日前の祝宴で、彼は帝に公然と恩典を願い出て、勅許により内裏警固の名目で、御簾越しの面会のみ許された。女官の正式な付き添いと通用門からの入退出限定で、妹を訪ねる特例が与えられた。護衛の目が彼に従い、門の鍵が彼のために開く。
――つまり、私のことだ。私を訪ねるための名目が、都の守りの上に置かれた。
真人は私の額を軽く弾いた。「そうだな、兵権を手放さず、栄光の極みにあって、帝が清算に乗り出すのを待つわけだ。」冗談めかした声に、わずかな試しの色が混じる。
私は頭を押さえて睨んだ。「何を言ってるの!」笑って受け流す器用さは、今の私にはもうない。
もちろん冗談だ。父には私一人しか実子はいないし、謀反など考えていない。真人も昔からずる賢く、兵権を渡して帝の疑念を解き、妹思いをアピールしているだけだ。京の警固を預かる近衛大将の座は、見せ札の顔をしている。
真人は幼い頃から私と仲が悪く、二言三言交わすとすぐ帰ろうとした。昔の癖は、肩の動きにまだ残っている。
私は彼をからかった。「近衛大将の座と引き換えに、後宮に半刻だけ滞在できるなんて、さすが兄上の計算は見事ね。」軽く針を刺すように、笑いながら言った。
真人は微笑み、ちょうどそこに明里がやってきて、すれ違った。香の筋がふたりの間をすり抜ける。
明里は一瞬驚き、興味深げな眼差しを私に向けた。案の定、次の瞬間にはまた朝に戻り、真人がまだ後宮に来ていない時に戻っていた。画面の端がぱちりと明るくなる。
そして明里は軽やかに現れ、たくさんの贈り物を手にしていた。箱の角が笑っていた。
時々私は、この世界が一体どうなっているのか本当に分からなくなる。ただ明里がその人の好きな物を三百個贈れば、その人は彼女に一途な愛を捧げるのだ。たとえ「人」であるはずの心でも、こんなに簡単に傾くのかと。
なんて滑稽なのだろう。滑稽で、そして寒々しい。
一国の帝が、団子三百串で一人の女性に心を奪われ、
陰陽師が、蘭三百束で女御のために運命を変え、
学士が、書画三百枚で帝の愛妃の肖像を袖に忍ばせる。
今度は明里は私の義兄に目を付けたのか?視線が、彼の肩へ細く伸びるのを感じる。
華やかな袖の下で私は拳を握りしめ、明里が私と話しながら時間を潰し、真人が来るのを待っているのを見ていた。突然、彼女は信じられないというように私を見つめて叫んだ。浮かぶ数値が跳ねず、固着したままだったのだろう。
私への好感度が底をついたことに気付いたのか?ゼロの表示が、彼女の瞳に固く焼き付いた。
どう挽回すべきか考えていると、明里は先に腹を立て始めた。「またバグが出たの?」声が画面の端で揺れる。
バグ?どういう意味だ。私の心は静かに沈み、彼女の言葉だけが浅瀬で跳ねた。
私は彼女が何十回もロードを繰り返すのを呆然と見ていた。明里は苛立ち、ついには悪態をついた。「どうして九条さんの好感度だけがリセットされるの?帝の好感度がゼロになるならまだしも!九条さんは本当に攻略が難しいのに!」
どうやら彼女は私の態度の変化をバグのせいだと思っているらしい。私の意志は、仕様外の誤動作だと。
私は適度に冷静な表情に戻した。「妾は嘉女御様にご挨拶申し上げます。嘉女御様、何かご用にございますか。」言葉の端を丸めて、距離を示す。
明里は何年もかけても私を傀儡にできず、今や一夜で全てが水の泡となり、足を踏み鳴らした。「ああ!」可愛らしい苛立ちが、床に跳ねる。
好感度を回復する気も失せたのか、朝に戻って部屋に閉じこもってしまった。薄い障子の向こうで、ロードの明滅が遠くなった。
私はまた真人が私を訪ねてくるのを見た。約束通り、風の向きが彼のために変わる。










