空気に消えた声、誇りは誰のために
空気に消えた声、誇りは誰のために

空気に消えた声、誇りは誰のために

リアリズム 16 章 完結 新作
著者: 緒方 まい
作品情報
目次

あらすじ

会社に尽くしてきた日々は、静かに終わりを告げた。理不尽な圧力と冷たい空気の中で、私は家族と自分の誇りを守るために戦い続けた。誰もが“空気”や“印象”に縛られながら、それぞれの正しさを信じていた。失業の不安と、家族の温もり、仲間の本音――そのすべてが胸に残る。静かな夜、娘の声に救われた私は、もう一度だけ前を向く勇気を得る。 それでも、職場にほんの少しの誠実さがあれば、何かは変わったのだろうか。

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