第9話: バレた恋とご両家初対面(電話越し)
珀様は口を押さえて驚いた様子。
「どうした? 言っちゃいけなかった?」
私は深く息を吸い、ゆっくり言った。
「言ってもいいよ、すごく上手く言ったね。」
琴音は雷に打たれたように固まり、私よりも硬直していた。ライブはドラマチックで話題性も最高潮だったが、珀様と琴音の背景を考え、監督は配信を終了した。控室は静まり返った。誰かが声を上げた。
「あなたと珀様は親しくないんじゃなかったの?」
彼は邪悪な笑みを浮かべて言った。
「僕たちは仲がいいよ。あなたも僕たちの“遊び”の一部だ」
「……」
その夜、トレンドは大炎上:#なずな、旦那、何か言ってよ##西園寺珀となずなの恋愛発覚# 港区の夜は、やけに眩しかった。
私は珀様の母親から電話を受けた。
「あなた、変な女優と付き合ってるって聞いたけど?」
私は珀様に目配せした。珀様は下を向いて死んだふり。どうせ自分の体でも母でもないから。私は適当に答えた。
「まあ……そういう関係になるかも。」
「どういう意味?」
「ちょっとだけ付き合ってる。」
「はははは、真面目な話してるのに笑わせないで……」
「今は結婚より仕事に集中しなさい。相手の素性も心配だし、ちゃんと考えて行動してよ。」
「笑わせないで」と言い残して電話を切られた。私は「あなたのお母さん面白いね」と言った。
「ありがとう、君のお母さんもね。」
私「……?」
思いがけず、すでにお互いの母親を知っている仲になっていた。家って、案外早くつながる。
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