Chapter 12: 第12話：目覚めた病室と夢の世界の真実

目覚めた時、私は皇宮ではなく、大学病院の特別病棟のベッドにいた。白い天井、器械の音、薬の匂い。すべてが現代の輪郭をしていた。

全身に点滴管が刺さっている。腕の中の管の冷たさに、現実の重さを感じる。

私は困惑して起き上がった。身体は重く、頭はやけに澄んでいた。

回診の看護師が私の覚醒を見て叫んだ。「先生、先生、治験番号35の患者さんが目覚めました！よかった、治療が成功しました！」声に安堵と驚きが混ざっている。

私は周囲を見回した。現代の病院だった。白い光は、夢の中の光よりも冷たい。

どういうこと？頭の中に疑問がいくつも浮かんでは消えた。

考える間もなく、見覚えのある顔が視界に入った。心臓が一拍強く打つ。

彼は白衣を着て、端正な顔にだらしない笑みを浮かべていた。だが私を見た瞬間、笑みは消えた。真剣さが一瞬で立ち上がる。

私は思わず叫んだ。「白河先生！」名前の響きに、夢の中の彼が重なる。

間違いない。入ってきた医者は白河 湊だった。現実の彼は、夢の彼より少し疲れて見えた。

彼も私を見て驚き、目尻が赤くなった。「治験番号35・久我山咲夜さん、目覚めてくれておめでとう。」声が少し震えている。