Chapter 11: 第11話:幸運だったはずの家庭教師生活
「そろそろ話してもらおうか。」
「はい。」
間宮結衣はとてもいい人だ。
私が金に困っているのを知って、妹の家庭教師を頼んできた。
彼女は、妹は教えにくくて何人も家庭教師を追い出したと言った。
うまく教えられたら続けてもらう、報酬は相場の半額で、と。
彼女は私のプライドを気遣ってそう言ったのだろう。
私はプライドなんてない。
稼げるならそれでいい。
家庭教師2時間で、焼き鳥屋3日分。笑っちゃうくらい稼げる。
父の足が悪くなってからは、私が稼ぐしかなかった。
だから間宮結衣の話を聞いたとき、すぐに承諾し、すぐに働き始めた。
実際に間宮雫を教えてみると、結衣の言葉が嘘のように思えた。
雫はとても素直だった。
それだけでなく、成績も良かった。
むしろ、私が教えることで足を引っ張るのではと心配したほどだ。私は彼女より年上なだけで、頭や論理的思考では彼女に劣らなかった。
毎回雫に教えるたび、私は長い時間準備し、全ての重要ポイントを網羅しようと努力した。そうしてようやく報酬を安心して受け取ることができた。
半月後、雫の両親は正規の家庭教師と同じ報酬をくれた。
彼女は、玄関で私の授業を立ち聞きしたことがあって、まだ子供だけど、以前の家庭教師と遜色ないと言ってくれた。このお金は私が受け取るべきだと。
結衣は私にウィンクした。「やっと給料日だね。ご馳走してよ!私は仲介役だから賄賂が必要だよ!」
私は多すぎるお金に戸惑い、断ろうとしたが、結衣のウィンクで飲み込んだ。
間宮家はみんな良い人だった。
私はとても幸運だった。
もし雫の窓から殺人を目撃していなければ、もっと幸運だっただろう。
この章はVIP限定です。メンバーシップを有効化して続きを読む。










