第2話:強盗事件の真相と毒同士の運命
――再び目覚めると、俺は17歳、エレナに尽くし始めた最初の年に戻っていた。時計の秒針の音さえ、初めて聞くように新しかった。
いつものように、聖陵学園の門の前でエレナの下校を待っていた。山手の坂の上、制服の群れが波のように揺れるのを眺めていた。
前世では、今日エレナは俺と一緒に帰らず、戸田と一緒に去った。俺はその背中を追うこともできなかった。
二人はみなとみらいの路地で強盗に遭い、エレナは戸田に助けられたことで、彼に心を奪われるようになった。出来の悪い英雄譚が、彼女の中に芽を出した。
それ以降、エレナは戸田に夢中になり、朝食を届けたり、宿題を手伝ったりするようになった。学内のカーストの目も、彼女の変化を面白がっていた。
俺の存在は彼女の視界から、そして心から徐々に消えていった。毎朝の挨拶も、彼女の視線も、いつの間にか俺を通り過ぎていった。
調べてみると、強盗は戸田が仕組んだものだった。彼はエレナが九条家に預けられていること、九条家が横浜でも有数の資産家であることを知っていて、命の恩人として信頼を勝ち取ろうとしたのだ。計算ずくの演出だった。
俺はこの事実をエレナに伝えたが、彼女は聞こうとせず、俺が二人の仲を裂こうとしていると思い込んでいた。恋に落ちた耳は、真実よりも甘い音を好む。
今世では、もうそんな面倒事に関わるつもりはない。俺は俺の大切を守る。
所詮、似た者同士は一緒になるのが一番だ。毒は毒で混ざり合えばいい。










