第5話:師匠絶縁と紅蓮宮の凱旋
少し離れて振り返ると、彼らは私の決然とした背中を見つめ、目が赤く、どこか未練がましい表情をしていた。未練はいつも、遅れてくる。
私は急いで紅蓮宮に戻った。火の香りが懐かしく、胸がすとんと落ち着いた。
山の長老たちや親族、父母が早くから私を待っていた。待つ姿勢が可愛いくらい整っている。
雀舞から飛び降りて、母の腕に飛び込んだ。腕はいつも、最初の寝床みたいに温かい。
母は私の甘えを制して「片付いた?」と聞いた。短い言葉に、長い理解が詰まっている。
私は勢いよくうなずいた。「片付いたよ!」声の弾みで、宮の灯まで揺れた。
周囲は歓声に包まれた。笑いと手の音が重なり合い、回廊に波紋を描いた。
叔母の鳳 瑶(おおとり よう)が私の手を取って笑い、「いいことだ、すぐ宴の準備を、緋鞠のために歓迎会だ」と言った。彼女の笑顔は、高天原一の美貌に相応しい華やぎがある。
私はそのまま神域一の美女である叔母の胸に飛び込んだ。香の匂いが一段と濃くなり、心がふわっと軽くなった。
百歳のとき、長老たちは私の運命を占い、人生があまりに順調すぎると必ず災いが訪れると言われた。式盤(しきばん)の石が妙に跳ねたのを覚えている。
だから人生に少し波乱を加えるべきだと。笑いながら、しかし半分本気で。
だが両親も一族も私を手放せず、何百年も引き延ばした。甘やかすのもまた、一族の本能だ。
その間、私はあちこちで騒ぎを起こしたが、この顔と唯一の幼鳥という身分のおかげで、何事もなく済んだ。騒ぎが宴に変わるのは、紅蓮宮の特技だ。
私は天仙学園に希望を託した。賢者の下なら、ほどよい荒波があるはずだと思ったのだ。
やはり順調に、いきなり七人の師匠を持ち、波乱も倍増した。人生の起伏は、時に笑えるほど急だ。
花梨が戻ってきて、期待通りの大波乱。物語は転じ、拍手が鳴り、幕が上がる。
これで十分だ。式盤の石も満足したに違いない。
紅蓮宮はお祝いムード一色。火の色がいつもより明るいのは、私の気分のせいだろうか。
私は叔母手作りの紫羽天蚕の衣を着て、骨のないように寝椅子で宴会を眺めながらひまわりの種をかじっていた。衣は軽く、肌に月の糸みたいに馴染む。
「大爺爺はどうして宴会に来てないの?」宴の隙間から、ふと気になった。
母は一緒にひまわりの種を食べながら答えた。「断絶の研究だって。父さんの話では、何か手がかりが掴めたみたい」声にわずかな期待が混ざる。
私は大喜びで、すぐにでも駆け寄りたかった。足が先に動きそうになるのを、ひまわりの種で止めた。
待ちきれずにいると、大爺爺が深刻な顔で歩いてきたが、私を見ると嬉しさで髭が跳ね上がった。感情の切り替えがいつも面白い人だ。
私が飛びつこうとしたとき、大爺爺の後ろから墨衣の少年が現れた。影は静かに揺れ、空気がひと呼吸で澄んだ。
少年は金色の光を踏み、銀冠で髪を束ね、冷ややかな美貌で、現れるや否や皆の視線を集めた。歩みは松のようにすらりとして、気配は霜のように静かだ。
だが、その近寄りがたい気迫に、私は思わず足を止めてしまった。心臓が一瞬、跳ねた。
大爺爺は私に紹介した。「こちらは龍神 宵(りゅうじん よい)だ」声は平然として、しかしどこか誇らしげだった。
私は驚いてひまわりの種を落とし、母も一緒に落とした。二つの音が床で軽く弾けた。
母はよく「今の龍族の主は、千年前に就任した時はまだ百歳の幼竜だった」と話していた。昔話のように、怖い話のように。
その時は皆、龍族も終わりだと思っていたが、千年経っても龍族はますます強くなり、神域の三大勢力の一つとなった。蒼海の流れはますます深く、術式はますます精妙になった。
それ以来、母の言い方も変わった。「宵はきっと恐ろしい悪龍に違いない。でなければあの龍族を抑えられないはずだ」と。枕元で何度も聞かされた。
「彼は幼い鳳凰が大好物で、私を脅してばかりいた」と。子守唄的な脅しは、妙にリアルだった。
だから私は幼い頃、毎日のように彼を罵っていた。顔も知らない相手を、想像でねじっていた。
まさか、こんなに美しい青年だったとは。目の前の現実は、物語を簡単に追い抜く。










