Chapter 18: 第18話:別世界だったふたりの再会
図書館を出た時、私は西園寺翔を見かけた。
もう半月も経ち、彼は東京に戻ったはずだと思っていた。
まさかまだ残っていたとは。
彼の顔の傷はほとんど癒えていたが、まだ痕が残っていた。
痩せて、目つきも以前のような自信はなく、どこか陰りがあった。
私は本を抱え、しばらく立ち止まり、ゆっくり前へ進んだ。
西園寺翔が呼び止めた。「美桜。」
別れてから、まだ数か月しか経っていないのに、
目の前の彼はすっかり別人のようだった。
私は木陰で足を止めた。
夕暮れの風が吹き、まだらな光が西園寺翔の顔に落ちる。
彼はどこか悲しそうだった。
「傷は治った?」
私は口を開いた。
西園寺翔とは深い恨みがあるわけではない。
最初から、円満に別れたいと思っていた。
好きだったし、愛した。それは私の選択だった。
後悔はない。
「治ったよ。」
西園寺翔はじっと私を見つめた。「あの日、来てたんだろ?全部聞いてたのか?」
私は少し考えて、どの日のことか思い出した。
「うん、行ってた。全部聞いた。」
「美桜、すごく後悔してる。」
「もう終わったことだよ。」
私はまっすぐ彼を見た。「西園寺、私たちはもともと合わなかった。」
「あなたの言う通り、私はただの普通の女の子。私たちは最初から別世界の人間だった。」
「違う、美桜。」
西園寺翔は首を振り、苦笑した。
一歩近づいて、私を抱きしめようとした。
でも私は後ろへ下がった。
「西園寺、もう遅いよ。帰るね。」
「君、工藤仁と付き合ってるのか?」
私は否定も肯定もしなかった。
私と工藤仁のことは、今は自分でもよくわからなかった。
自然の流れに任せるしかなかった。
西園寺翔はしつこく道を塞いだ。
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