Chapter 17: 第17話:汚れた手と純粋な寝顔
西園寺翔に手を回すことなどしなかっただろう。
過程は大変だった。
美しい女たちは次々と敗れ去った。
最後に高嶺レイナが西園寺翔を動かした。
その時、彼は大阪にいて、その知らせを聞いた時は思わず興奮した。
その後の美桜の行動は、すべて彼が東京に残した人間が細かく報告していた。
彼女は西園寺翔のために泣き、裏切りに傷ついた。
彼も大阪で同じように眠れぬ日々を過ごした。
最後に、彼女が西園寺翔の家を出て、他の大学への交換留学を決めたと知った時――
一方で高嶺レイナに西園寺翔を引き留めさせ、
一方で最速で彼女が大阪に来られるよう手配した。
すべてが順調に進んだのは、天の助けだと思った。
だが、工藤仁は美桜にこの汚い裏事情を知らせるつもりはない。
男のすることは手段を選ばない主義だが、
彼女には自分の卑劣さを知られたくなかった。
何度繰り返しても、同じ選択をするだろう。
後悔は一切ない。
好きだからこそ、彼女を自分のそばで大切にしたい。
二年近い不安な日々に、ようやく終止符が打たれた。
工藤仁はそっと彼女の眉間にキスをした。
眠っている時の彼女はとても従順だ。
横向きに小さく丸まり、呼吸も浅い。
パジャマには、あのジャスミンの香りがふんわりと染み込んでいた。
その香りが胸の奥までじんわり落ち着いて、体の力がふっと抜けるような安らぎをもたらす。
彼は微笑みながら、そっと彼女を腕に抱き、
目を閉じて深い眠りについた。
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