Chapter 11: 第11話:選べない朝と強引なキス
私は一晩中悪夢を見た。
夢の中では、あの男たちに追いかけられ、夜の繁華街で身を隠すものの、背後から足音が迫ってきて、捕まって無理やり連れて行かれそうになったり、誰かの怒鳴り声が耳に残ったりした。
朝起きると、目の下のクマがひどかった。シーツは冷たい汗で湿っていて、心臓の鼓動がなかなか収まらなかった。
鏡の前で呆然と自分を見つめる。
昨日の恐ろしい体験、悪夢の数々を思い出し、また涙がこぼれた。
もう他に選択肢はないように思えた。
親に心配をかけたくなくて、相談もできなかった。
警察に通報しても、まだ実害はない。
次に何か起きた時には、もう遅いかもしれない。
頭が重く、ふらふらしながらシャワーを浴び、着替えて階下に降りた。
工藤仁はすでにリビングに座っていた。
私を見ると、手にしていたコーヒーを置いた。
私は最後の数段をのろのろと降り、うつむいて彼の前に立った。
「考えはまとまった?」
私は唇をかみ、思い切ってうなずいた。
「工藤さん……
その、少しだけ時間をもらえませんか、慣れるまで。」
「時間はやるが、俺は忍耐強くない。」
「長くはかからない、約束します。」
「いいだろう。」彼はあっさり答えた。
私はほっと息をついた。
だが工藤仁はまた口を開いた。「美桜、こっちへ来い。」
私は戸惑いながらも、ゆっくり彼の前に歩み寄った。
「昨日の件、まずは礼をもらおう。」
そう言って、私の腕をつかんだ。
反応する間もなく、バランスを崩して彼の胸に倒れ込んだ。
彼は私を離さず、逃げる隙も与えず、抱きしめたまま唇を重ねた。
彼の唇にはブラックコーヒーの苦みが残っていた。
私は呆然と目を見開いたが、工藤仁は手で私の目を覆った。
「美桜、目を閉じろ。」
「力を抜け。」
「動くな、何もしない。」
「動くなと言っただろ……」
私は全身を硬直させ、動けなくなった。










