お年玉とギフトでつながる約束——都会の片隅で君ともう一度
お年玉とギフトでつながる約束——都会の片隅で君ともう一度

お年玉とギフトでつながる約束——都会の片隅で君ともう一度

リアリズム 6 章 連載中 新作
著者: 外村 慎二
作品情報
目次

あらすじ

子どもの頃、何気なく交わした「大きくなったら結婚する」という約束。その言葉は、時を超え、都会の片隅で再びふたりを結びつける。見栄っ張りでお世辞ばかりの春斗と、冷静で優しさを隠し持つ小雪。お年玉やギフト、数字でしか示せない不器用な誠意と、すれ違いながらも少しずつ近づく距離。家族や猫たちに囲まれた静かな日々の中、ふたりの関係は少しずつ変化していく。約束の重み、過去の記憶、そして新しい命の気配。——この幸せは、本当に手に入れていいものなのだろうか。

あなたへのおすすめ

十年分の空白と、約束の夏が遠くなる
十年分の空白と、約束の夏が遠くなる
4.7
十年分の記憶を失った俺の前に、幼なじみであり妻であるしおりは、かつての面影を消し、冷たい視線を向けていた。華やかな都心のマンション、豪華な暮らし、しかし心の距離は埋まらない。ALSの宣告と、戻らない過去。しおりの傍らには、見知らぬ男・昴が立つ。交わしたはずの約束は、現実の波に流されていく。あの日の夏の笑顔は、もう二度と戻らないのだろうか。
十年目の夜、捨てられた子猫のように
十年目の夜、捨てられた子猫のように
4.9
十年という歳月を共にした恋人が、ある夜に裏アカウントで自分への本音を吐露していたことを知った大和。湾岸マンションの夜景も、キャンドルディナーも、指輪も、全てが静かに崩れていく。年の差や社会的な壁を乗り越えようとした日々、幼い恋人・陸のわがままも、涙も、すべて抱きしめてきたはずだった。しかし、偽りの愛と、すれ違う孤独が積もり、二人は静かに別れを選ぶ。札幌の冬、東京の会議室、そして暗いビジネスパーティーのトイレ——再会のたびに残る痛みと、触れられない距離。最後に残ったのは、捨てられた子猫のような自分自身と、彼のいない朝の光だけだった。それでも、もう一度だけ彼を愛してもよかったのだろうか。
白いバラが咲くとき、あなたに会えたなら
白いバラが咲くとき、あなたに会えたなら
4.9
十年にわたり互いに傷つけ合い、すれ違い続けた夫婦――伊織と絵里。東京の乾いた冬の空の下、ふたりは離婚を決意し、それぞれの孤独と向き合うことになる。病を抱えた伊織は故郷へ帰り、静かに人生の終わりを受け入れようとするが、絵里は過去と後悔に縛られながらも、彼のもとを訪れ続ける。やがて、季節がめぐる中でふたりの間に残されたものは、言葉にならない想いと、白いバラの花束だけだった。 あの日の約束も、もう二度と取り戻せないのだろうか。
同窓会は涙のあとで
同窓会は涙のあとで
4.9
貧乏で不器用なまま大人になった主人公は、突然届いた同窓会の招待メッセージに心を揺らす。友情、恋、そして失った青春の痛みが、静岡の冬の夜風とともに蘇る――あの頃の自分を、もう一度見つめ直すために。もう戻れない青春に、最後の賭けを挑む物語。
冬の港に影が落ちて、春の光が射すとき
冬の港に影が落ちて、春の光が射すとき
4.9
形だけの結婚生活に終止符を打つ日、静かな丘の街に冬の気配が忍び寄る。幼なじみとして二十年寄り添った小雪との別れは、静かで痛みを伴うものだった。湊は母の看病や離婚の現実に揺れながらも、自分を大切にしてくれるひよりの温かさに少しずつ心を解かれていく。すれ違い、諦め、そしてようやく訪れた新しい愛のかたち。遠ざかる影と、差し込む光。そのどちらも胸に残したまま、湊は静かに歩き出す。 本当に、大切なものはどこにあったのだろうか。今度こそ、自分の幸せを信じていいのだろうか。
雨の日に失われた約束と、記憶の彼方で
雨の日に失われた約束と、記憶の彼方で
4.8
雨音が静かに響く夜、私はかつて救ったはずの彼女と、すれ違い続けていた。結婚という約束のもとで隣り合う日々も、元主人公の帰還をきっかけに、次第に心の距離が広がっていく。信じたい気持ちと、消えない疑念。思い出も、愛も、記憶の波に飲まれていく中で、私はこの世界に残る意味を見失ってしまった。すべてを忘れてしまう前に、本当に伝えたかったことは何だったのだろう。二人の始まりと終わりは、雨の中に溶けてしまったのかもしれない。
あの日の未練が導く、二度目の約束
あの日の未練が導く、二度目の約束
4.7
霜の降りる静かな朝、命の終わりを迎えた久世玲人は、己の未練とともに静かに目を閉じた。しかし祈りにも似た想いが時を越え、若き日の自分として再び目覚める。かつて果たせなかった御屋形様との約束、守れなかった家族や仲間たちの想い。その全てを胸に、玲人は再び乱世へと歩み出す。過去の悔いと新たな決意の狭間で、もう一度だけ、運命を変えることはできるのだろうか。
君の手が頬に触れた夜、運命に抗う僕らの距離
君の手が頬に触れた夜、運命に抗う僕らの距離
4.6
目覚めた時、隣には四年間密かに想い続けてきた天宮先輩がいた。複雑な家同士の思惑、オメガへの分化、消せないマーキングと心の傷。帝都防衛アカデミーでの絆は、静かに、そして激しく揺れる。家族や政略の重圧の中、雨の夜に交わされるひとつの傘、残された言葉、遠ざかる背中。雪原の爆発と拘置区の壁の向こうで、二人の距離は今も測れないまま。最後に彼の手が頬に触れたとき、心は何を選ぶのだろうか。
初雪の日から、白髪になるまで一緒にいよう――僕が“当て馬幼馴染”だった世界の果て
初雪の日から、白髪になるまで一緒にいよう――僕が“当て馬幼馴染”だった世界の果て
4.8
仙台の灰色の空と欅並木、凍える冬の街で、僕は幼なじみの美羽と二十年の季節を重ねてきた。物語の“当て馬幼馴染”として、彼女の心が主人公へ引き寄せられていくのを静かに見守るしかなかった。約束を破られた誕生日、冷たいケーキの甘さが胸に沈む。やがて僕はこの世界からログアウトを申請し、別れの準備を始める。思い出を辿り、出会いの場所を巡りながら、彼女との最後の初雪を迎える。消えていく記憶の中で、残されたのは静かな愛と痛みだけ。「初雪の日から、白髪になるまで一緒にいよう――」その言葉は、もう誰にも届かないのだろうか。
港区と下町の境界で、罵倒と涙を分け合う私たち
港区と下町の境界で、罵倒と涙を分け合う私たち
4.7
港区と下町の境界で、私は西園寺グループ御曹司・珀と体が入れ替わった。芸能界の毒舌と借金、リアリティーショーの喧騒に揉まれながら、互いの孤独と優しさに触れていく。罵倒と涙の狭間で、少しずつ本音が溢れ出す日々。やがて工場の再建と新たな事業を通して、二人の絆は変化し始める。春の光の中、どこか不器用なプロポーズが訪れ、港区の夜は眩しく染まった。心の痛みを分け合いながら、ふたりは本当に“結ばれた”のだろうか。